松山商工会議所 環境行動計画

1.趣旨

地球温暖化は全世界にとって重大な環境問題であり、現在、京都議定書注1に基づく温室効果ガス削減目標の達成が、我が国にとって大きな課題となっている。
こうした中、企業では経済面だけでなく、CSR注2(企業の社会的責任)としてこのような環境への取り組みが求められている。
当所では、会員企業や地域の地球温暖化対策に対する自主的・継続的な取り組みを推進・支援し、自らも同問題に積極的に取り組むため、「環境行動計画」を策定する。

2.方針

当計画では、会員企業・地域の地球温暖化対策として、次の4事項を実施する。

  1. 会員企業の自主的・継続的な取り組みへの支援
  2. 地域における問題意識の向上
  3. 所内の環境対策活動の推進
  4. 行政等との連携

3.期間

環境行動計画は成果を検証し、継続的な改善をしながら取り組むことが重要であることから、平成21年度から平成23年度までの3年間を実施期間とし、平成22年度以降は、前年までの取り組み内容を検証したうえで、計画内容を見直し推進する。

4.実施体制

当計画の実施を円滑に進めるため、以下を設置する。

1.環境行動計画推進会

当計画の効果的な推進や、実施状況の検証や軌道修正を行うとともに行政への提言事項を集約する。

2.所内プロジェクトチーム

部署の特性に合わせた役割分担をし、計画を推進するとともに、所内の環境対策活動については実施状況を検証・改善をする。

3.コーディネータ

専門家の立場から、当計画の実施方法や推進状況の改善等を指導する。

5.実施内容

(1)会員企業の自主的・継続的な取り組みへの支援

地球温暖化対策の取り組みが、自主的・継続的に行われることが重要であることから、企業のレベルに応じた支援メニューを提供。自発的な取り組みを啓発するためのチェックシートの作成から、本格的な環境マネジネントに取り組む企業に対する専門家による指導、さらには、企業の環境活動への取り組みに付加価値を与えるCSR顕彰制度など、事業所のレベルに応じた様々な支援を行う。

1.二酸化炭素排出量簡易チェックシートの作成・普及

日本商工会議所が作成しているチェックシートをより多くの企業が利用できるよう、簡易化し普及を図ることにより、温暖化への問題意識付けを支援する。

2.環境対策推進パンフレットの作成・配布

補助金、助成金、融資制度等や会議所が提供する各種支援メニューの情報をまとめたパンフレットを作成。会員企業への周知を図り、温暖化に対する自主的な取り組みを支援する。

3.環境対策普及セミナーの開催

会員企業に対し温暖化への問題意識向上を図るためセミナーを開催。
同時に、参加者にチェックシートやパンフレットを配布し、当所の温暖化対策への支援をPRする。

4.環境活動宣言事業者の募集と環境行動計画の作成支援

CSR活動として環境への取り組みを宣言する事業所を募集し、さらに宣言企業が温暖化対策として自主的に行う、環境行動計画の作成について支援する。

5.環境マネジメントシステム導入支援

温暖化対策として有効かつ公的な環境マネジメントシステム注3である、エコアクション21注4やISO 14001の制度普及並びに導入支援を行う。

6.国内クレジット制度注5のソフト支援

京都議定書で定められた温室効果ガスの削減目標達成に向け、国が定めた「国内クレジット制度」における排出削減計画作成(省エネ無料診断を含む)等を支援する。

7.CSR顕彰制度の実施

会員企業のCSR(企業の社会的責任)活動として、他の模範となる「環境に対する取り組み」を顕彰し、企業の環境への取り組みに付加価値を与え、その取り組みが持続的なものとなるよう支援する。

(2)地域における問題意識の向上

地球温暖化対策として、企業だけでなく地域住民の意識向上を図るため、当所女性会・青年部活動による地域への啓発。また、様々な立場の人が受験可能な環境社会検定試験(eco検定)の普及、さらには環境教育の一環として、地域の教育機関と共同で温暖化対策への取り組みの調査研究を行い、地域の温暖化に対する問題意識向上を図る。

1.女性会・青年部事業での展開

当所の女性会・青年部活動の一環として、地域の有効な地球温暖化対策を検討するとともに、事業活動を通して、広く一般市民へ温暖化への問題意識向上を図る。

2.環境社会検定試験(eco検定)注6の普及・推進

「幅広い環境知識」が必要とされる環境社会検定試験(eco検定)の周知を図り、資格取得を進めることにより、地域の温暖化への問題意識向上を図る。

3.温暖化対策事例の研究

地域の教育機関と共同で温暖化対策への取り組みの調査研究を実施。
その調査研究を通じて、学生や地域の温暖化への問題意識向上を図る。

(3)所内の環境対策活動の推進

企業・地域の温暖化対策のため、積極的に所内の環境対策活動を推進する。取り組みにあたっては、循環型社会注7形成のため3R注8 [ ①リデュース(減らす)、②リユース(繰り返し使う)、③リサイクル(再資源化)]を重視し、それぞれの定めた事項に取り組み、環境にやさしい商品の購入(グリーン購入 注9)に努める。また、こうした取り組みを普及させるため、職員への環境教育を推進するとともに、チェックシートを活用し、電力、水道、ガソリン、紙の削減実績を検証する。

1.リデュース(減らす)

日々の業務で、職員一人一人が電力・水道・ガソリン・紙等の利用削減のため、以下の取り組みを行いう。また、チェックシートを活用して、これらの所内全体の利用実績を把握し、削減に努める。

電力
  • 会館内施設(ロビー、トイレ、階段踊り場など)は、利用時間以外は消灯する。
  • 勤務時間外は(出所時、退所時、昼休み、残業時など)は利用している箇所のみ照明をつける。
  • 夏季はクールビズ、冬季はウォームビズを実施し、温度設定(夏季は28℃、冬季は20℃)を遵守する。
  • 帰所時には、モニター、コピー機、プリンター、印刷機の電源を切る。
  • 最寄階へのエレベーターの使用は自粛する。
  • 会館内(電気スイッチ付近等)に節電を呼びかける啓発用の表示を行う。
水道
  • 水の節水に努める。
  • 水道蛇口付近に節水を呼びかける啓発用の表示を行う。
ガソリン
  • 公用自動車(原動機付自転車等を含む)は燃費を考えたエコドライブ(アイドリングや急発進、急加速の防止等)を心がける。
  • 近距離の業務・用途には、自転車を積極的に利用する。
  • 業務で使用する資料は両面を使う。
  • 印刷、コピーは最小限にする。
その他
  • 会館食堂ではマイ箸を利用するよう努める。
  • 事務所内ではマイコップを利用するよう努める。

2.リユース(繰り返し使う)

日常業務で、職員一人一人が資源の再利用とその啓発に努める。

  • 使用済み封筒・紙は決められた場所に置き、再利用に努める。
  • 文房具類(クリップ・ボールペン・ファイル等)は再利用に努める。

3.リサイクルへの取り組み

日常業務で、職員一人一人がごみの分別・回収を徹底し、リサイクル製品の積極的な購入・利用推進のため、以下の取り組みを行い、資源のリサイクルとその啓発に努める。

分別・再資源化の推進
  • 一般廃棄物は、紙類(OA紙、新聞、チラシ等)、書籍・雑誌・段ボール、可燃ごみ、プラスチック、金物・ガラスなどに分別する。
  • シュレッダーの使用は、機密文書(個人情報に関する文書を含む)の廃棄に限定し、廃棄機密文書の溶解処理による再資源化を推進する。
リサイクル製品の使用
  • コピー機、プリンターの使用済みトナーカートリッジの廃棄にあたっては、回収とリサイクルが徹底されるよう、メーカーなどに要請する。
  • 事務用品、消耗品などの購入にあたっては、環境にやさしいリサイクル(エコマーク)製品を選択するよう努める。
  • 業務や会館内で使用する紙は、極力、古紙パルプ配合率の割合が高いものを使用する。

4.グリーン購入の推進

3Rとともに、環境にやさしい商品の購入を推進する。

  • OA機器、電化製品などの購入にあたっては、省エネ型を導入するよう努める。
  • プリンターは両面印刷の可能なものを購入する。
  • 公用自動車の購入にあたっては、低公害車・低燃料車を導入するよう努める。
  • 弁当などは、使い捨て容器を使用していないものを購入するよう努める。
  • 商品の購入にあたっては、極力、簡易包装のものを選択する。

5.環境教育の実施

  • 定期的に所内の電力・水道・ガソリン・紙の利用実績検証によってCO2の削減を喚起し、3Rとグリーン購入の取り組みへの理解を深める。
  • 環境社会検定試験(eco検定)の資格取得を推進する。
  • 自治体やボランティア団体などが実施する清掃活動などに積極的に参加する。

(4)行政等との連携

地球温暖化対策は、様々な分野に及ぶため、行政・環境関連機関等との連携した活動を展開する。

サンシャインプロジェクトへの協力

松山市は太陽エネルギーによる「脱温暖化」と「産業創出」を目指しており、当事業の会員企業への啓発を行い、地域企業の太陽エネルギーの利用や太陽エネルギーを活用した産業創出の促進に協力する。
また、環境都市である姉妹都市のドイツ・フライブルク市と行う環境経済国際交流も協力する。

容器包装リサイクル法に係る再商品化委託申込受付等業務の受託

(財)日本容器包装リサイクル協会より受託している、容器包装リサイクル法に係る再商品化委託申込受付・契約入力代行業務を継続実施し、容器・包装を利用・製造・販売する事業者に対して再商品化を義務付けた同法の普及を図る。

<語句説明>

注1 京都議定書
1997年に開催された気候変動枠組み条約第3回締約国会議において、各国に温室効果ガス削減の具体的な数値目標を定め、約束期間内(2012年まで)にその達成を義務付けたもの。日本は、1990年比で6%の削減目標を負っている。

注2 CSR
企業は利益を追求するだけでなく、社会を構成する一員として、企業が社会に与える影響に責任を持ち、利害関係者全体の利益を考えて、持続可能な社会を構築する取り組みに積極的に参加し、責任を果たすべきであるという考え方。

注3 環境マネジメントシステム
企業や団体などの組織が、環境への取り組み目標を設定し、その達成に向けた活動を“効果的・効率的"に実施するためのシステムを構築・運用・維持する仕組み。

注4 エコアクション21
環境省が策定した「エコアクション21」ガイドラインに基づく認証登録制度。システムの構築・維持にかかる費用が安価で中小企業にも取り組みやすい環境マネジメントシステム。

注5 「国内クレジット制度」
中小企業等が大企業等から資金や技術・ノウハウ等の提供を受け、協働(共同)でCO2排出削減に取り組み、その削減分を売却できる仕組み。

注6 環境社会検定試験(eco検定)
環境に対する幅広い知識を持ち、社会の中で率先して環境問題に取り組む「人づくり」と環境と経済を両立させた「持続可能な社会」を目指すことを目的に実施している商工会議所の検定試験。

注7 循環型社会
(リデュース:Reduce)(リユース:Reuse)、(リサイクル:Recycle)を推進することで、天然資源の消費を抑制し、環境負荷を可能な限り低減する社会。

注8 3R
3Rとは廃棄物・リサイクル対策として行われるもので、廃棄物の発生抑制(リデュース:Reduce)、使用済み製品・部品等の適正な再使用(リユース:Reuse)、回収されたものを原材料として再生利用する(リサイクル:Recycle)をいう。

注9 グリーン購入
購入者が商品を購入するさい、価格、品質、利便性などの条件に加えて、環境にも配慮し、環境負荷ができるだけ小さい製品・サービスを優先的に購入する仕組み。