所報7月号
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11コラムCOLUMNコ ラ ム 一般的に、飲食業でのインターネット利用といったら、ホームページで店舗のメニューやサービスを発信しているところが多いだろう。特徴は、お客さまに足を運んでもらわなければならない業種の性格上、地図や営業時間も一緒に記載されている点だ。 チェーン展開している飲食店のホームページでは、今居る場所から近い順に店舗を表示したり、店舗までの道順をナビゲートしたりするサービスを掲載している場合もある。さらに、家族連れやカップルだけではなく、〝おひとりさま〞でも使いやすいお得なクーポンを発行するなど、来店を促す高度で多彩な仕掛けや工夫が施されていることもある。 しかし、ホームページにそれほど手間を掛けられない店では、どのようにネットを利用すれば効果が上がるのだろうか。◆ 利用する側の行動を考えてみると、店舗や客の入れ替わりが激しい都市部では、店舗検索サイトを使って、写真やメニューのほか、サービス内容や予算などから絞り込み、最後に口コミをチェックして店舗を決定することが多い。一方、入れ替わりが少ない地方では、自分の記憶をたどって、思い浮かんだところに行ってしまう場合が多いのではないだろうか。 すなわち、いかに客の記憶に残り、思い出してもらえるかがカギとなる。心理学者のヘルマン・エビングハウスが提唱した忘却曲線に照らせば、人間は3カ月間その店のことを思い出さないと、完全に忘れてしまうらしい。だから、定期的に情報を流し、忘れられないように、そしていざというときに思い起こしてくれるような関係をつくることが、都市部でも地方でも大切なのである。 一般的にお得意さまでもない限りは、お客さまに定期的に店舗情報を伝える手段はない。しかしネット上では、メールをはじめ、最近流行のTwitterやfacebookなどのソーシャルネットワーキングサービス(SNS)などの利用により、お客さまにも負担を掛けず、簡単に情報を届けることができる。 さらに、サービス業のネット利用では、ホームページだけに頼るのではなく、初めてのお客さまを含めた方々と、店主の趣味や周辺情報など、店舗サービスとは離れた情報を交換することにより、緩やかなコミュニケーションを定期的に取りながら、来店へとつなげていくことも必要。そのためには最近話題のSNSも重要な店舗ツールなのである。Yahoo! JAPAN 小澤 富士男/おざわ・ふじお 1960年生まれ。システム開発、中小企業向けのコンサルティングを経て、その後、ヤフー株式会社に入社。ネットショップ関連のシステム開発に従事するとともに、各地の商工会議所でネットビジネス計画立案セミナーを開催し、ネットショップ開設の支援を実施している。また、システムアナリスト(高度情報処理技術者)や、ビジネスプロデューサー(オープンコンサルティングプロジェクト)、ビジネスGISコーディネータ(GIS学会ビジネス分科会)、MCSC:マイクロソフト認定システムコーディネータ(マイクロソフト)の資格をもち、著書には『日本列島データマップ』(2006年版・ダイヤモンド社・共著)、『面白 日本列島-データで見る都道府県の秘密-』(ネクストパブリッシング・共著) などがある。サービス業でのネット利用ヤフー株式会社 小澤 富士男

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