所報11月号
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17会員トピックス昭和42年頃の写真年、鎌倉幕府が発令した永仁の徳政令の条文には「質入」という言葉が記されているという。そんな、700年の歴史を有する質業を営む矢野商事が創業80周年を迎えた。 創業は花園町。現在は大通りとなっているが、当時は3人並ぶとすれ違うことができないほど狭い裏路地だったとか。日本における庶民金融は質屋しかなかったこともあり、生活に密着したお店として、利用客も多かったという。ピーク時には全国で約3万件、市内でも100件以上の質屋が営業していたそうだ。昭和40年代から、サラリーマン金融と呼ばれる無担保でお金が借りられる団地金融が登場、サラ金という言葉が流行した。そんな時代の流れにより、全国の質屋の数は10分の1以下となった。 それでも、立地の良さからか、同店を訪れる方が絶えることはない。初めてのお客様は、不安を抱いている方も多いが「心地よくお金を借りて欲しい」という同店のモットーと、自分の持つ財産以上のお金を借りることのない質屋のシステムが上手く機能することで、帰る際には、笑顔になっていることが多いそうだ。現社長の矢野宏道氏は「頼りにされるお客さんがいる限り事業を続けていきたい」と語る。昔から日本に根付く庶民金融として、お客様の笑顔を求め続けていく。㈲矢野商事昭和6年創業創業80周年会員トピックスMEMBERS TOPICS1297和16年、国からの要請で愛媛県の故繊維統制会社として創業した愛媛故繊維再生が創業70周年を迎えた。 創業地の現住所は「みつまた」から取り出した繊維で、和紙をつくっていたという不思議なゆかりがある地だとか。創業時は中古衣料のみの取り扱いだったが、戦後、統制が解除され、鉄、非鉄、ウエスなどを追加、高度経済成長期には、故紙やウエスが中心となったが、再生資源の取り扱いも大きく増えていった。 取扱業者が多くなり競争が激化する中、昭和61年、現社長の稔氏が3代目となる代表に就任した。集荷量の安定化や紙とゴミの同時収集、ゴミの再利用化などで他社との差別化を進めた。「廃棄物はお客さんから回収するだけで料金を貰えるが、自然環境保護の為にも、何かに使えないかとリサイクルを始めたのが事業の拡大に繋がった」と稔氏は語る。 現在は、偶然、70周年と設立が重なった東温事業所「エコフォレスト」に機能を移し、事業を展開している。あわせて、次代へのバトンタッチにも取り組み中だとか。稔氏は後継者に「今まで通りでもやってはいけるが、新しい事を自分の力で始めて欲しい。まず、経営の感覚を身に付け、全体を見る目を養うことが肝要」と注文をつける。新天地で新しい時代を見据えた経営に取り組む愛媛故繊維再生。既に、次の10年に向けた飛躍を模索しているようだ。愛媛故繊維再生㈱昭和16年創業創業70周年事 業 所 概 要愛媛故繊維再生㈱代表取締役社長 吉 田 稔 氏所在地/松山市日の出町10-55TEL/089-943-0443事 業 所 概 要㈲ 矢野商事代表取締役 矢 野 宏 道 氏所在地/松山市花園町2-3TEL/089-941-4044昭
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