所報6月号
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会頭白石省三(三浦工業株式会社 取締役会長)副会頭森田 浩治(株式会社伊予銀行 会長)The winds of Matsuyama私が考えるこれから第1回「予測できた危機をなぜ防げなかったのか?」第13回 「本当にいい企業とは」変化の時代に求められる「価値」「いい企業」の基準とはとは、どのような企業なのでしょうか。 企業は、生み出す「価値」が高く、その「価値」が社会から必要とされ、他が真似できないものである限り、必ず生き延びて成長するこ 先日、独自の運用方針で支持を集めているファンドの代表者と話す機会がありました。その方は、投資対象に選ぶ「いい企業」の基準を、「人、匠、共生」という アベノミクス効果で「株高、円安」が進み、とりあえず目先の景気浮揚の起爆剤となっている状況ですが、長い目で見れば「つなぎのカンフル剤」と捉えるべきでしょう。これを持続的な成長に繋げるためには、まさに異次元の成長戦略が不可欠だと思いますが、政策の役割はあくまで活力を引き出す環境づくりであり、景気浮揚を実現するのは民間企業の頑張りであることは言うまでもありません。 人口減少、高齢化、ICTやグローバル化の進展など、かつて経験したことのない大変化が起こることを踏まえつつ、足元を見つめ直すことが大切ですが、では、これからの時代に生き残れる「いい企業」キーワードで表現していました。「人」とは、社員を大切にする、様々な属性の人が高いモチベーションで働ける企業、「匠」とは、グローバルでニッチ、技術・サービス力があり変化し続ける企業、「共生」とは、地域を大切にし、循環型社会を創造する革新的な企業だそうです。 切り口や表現はそれぞれ異なりますが、社会から必要とされ存続し続ける「いい企業」のイメージが、何となく重なって見えてくる気がします。売上や利益などは放っておいても目指す指標となりますが、我が社を「いい企業」にしたいと考えた時、これまでとは違った「目標、やりたいこと、やるべきこと」が頭に浮かんでくるのではないでしょうか。私自身、もう一度自問してみたいと思います。とができます。この場合の「価値」とは、企業が提供する商品・サービスだけでなく、雇用や働く人の満足、事業の社会性や存在意義といったことを含む広義の「価値」を意味します。この考え方を分かりやすく説いた昔からある有名な言葉が、近江商人の「三方よし(売り手よし、買い手よし、世間よし)」ですが、売り手の都合だけで商いをせず、買い手が心の底から満足し、さらに商いを通じて社会の発展や福利の増進に貢献しなければならないという考え方は、基本的なことのようで実現が難しく、また、備われば最も強い企業になれる要件なのです。この要件は、時代・環境を問わず不変だと思います。コラム6
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