所報7月号
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坂本 光司/さかもと・こうじ1947年東京生まれ。福井県立大学教授、静岡文化芸術大学教授などを経て、2008年4月より法政大学大学院政策創造研究科(地域づくり大学院)教授、同静岡サテライトキャンパス長および同イノベーション・マネジメント研究科兼担教授。他に、国や県、市町、商工会議所などの審議会・委員会の委員を多数兼務している。専門は中小企業経営論・地域経済論・産業論。著書に『日本でいちばん大切にしたい会社』(あさ出版)、『この会社はなぜ快進撃が続くのか』(かんき出版)など。法政大学大学院政策創造研究科 教授 坂本光司快進撃企業に学べ定して実現している。 同社の長期にわたる快進撃の要因は多々あるが、とりわけ明記しなければならないのは、訪問客への心温まるサービスだ。 筆者も多くの企業を訪問調査しているが、同社のサービスはトップクラスだ。少し大げさに言うと、そのレベルは「期待サービス」「感動サービス」どころか「驚嘆・驚愕サービス」のレベルである。 先般、大学院生約10人と訪問した時の例を紹介する。事務所に入ると、まずは笑顔の素敵な全スタッフから歓迎のあいさつを受ける。正直、これだけで筆者たちは、この会社は並の会社ではないと気がつく。そして靴を脱ぎ、すでに置いてあるスリッパに履き替えようとスリッパを見ると、これまた驚く。「歓迎〇〇様」と、筆者たち全員のフルネームが刺繍されているのである。 通された会議室のテーブルの上には、たくさんの資料とともに一枚の色紙が置かれていて、そこには一人ひとりの名前を一文字ずつ使った、筆者たちをたたえる詩が書かれていた。さらに驚くのは、スタッフから出されたおしぼりに名前が刺繍され、出されたコーヒーカップ 東海道新幹線・岐阜羽島駅から車で20分ほど走った田園風景ののどかな場所に「日本ウエストン」という社名の中小企業がある。従業員は31人、主な事業は工業用タオル(ウエス)や手袋のリース・リユースである。 従来は使い捨てであったウエスや手袋の、収集・分別・洗浄・再利用を一貫して担う環境保護・資源再生企業が同社である。 同社の設立は昭和45年。現社長・臼井麻紗杜さんの義理の父で、現会長の臼井清三さんが、事業の将来に着目し脱サラ、スタートしている。 景気や流行を一切追わず、堅実経営を貫き、現在の売上高は約9億円。工場で使用されている手袋のリユース分野は、今や全国トップクラスである。また、その業績も創業以来ほとんどぶれず、業界平均をはるか上回る利益率を安にも筆者たちの名前が書いてあったのである。 同社が営業活動などほとんどしなくても、口コミで全国各地から注文が殺到する意味がよく分かった。 ちなみに、刺繍などは同社のグループ法人で、就労移行支援施設で訓練している障がいのある人が作業してくれている。訪問客を感動させ、口コミで注文が殺到する『日本ウエストン』vol.14コラムコラム16

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