所報8月号
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アドバイス《プロフィール》横浜国立大学を卒業し、1980年公認会計士及び税理士の登録。現在、日本公認会計士協会「経営研究調査会」事業承継専門部会 部会長、日本商工会議所「税制専門委員会」学識委員。著書には、『実践 経営改善計画の進め方』(清文社)、『社長さん必読!プロが教える事業承継の税金と法律』(東洋経済新報社)、『専門家のための Q&A経営承継円滑化法・事業承継税制徹底活用』(ぎょうせい)等がある。キド先生のコメント この経過措置の適用を受ける場合には契約の相手方に対し、その課税資産の譲渡等が旧税率の適用を受けたことを書面により通知しなければなりません。ただし、この通知は契約書や請求書等にその旨を表示することとして差し支えありません。2.請負工事等の経過措置の概要3.経過措置の対象となる「請負工事等」の契約の内容3.経過措置の対象となる「請負工事等」の契約の内容4.経過措置の適用要件 この経過措置の適用を受けるためには、次に掲げるすべての要件を満たす工事等の契約であることが要件です。① 建設業に係る工事の請負に係る契約② 製造請負に係る契約③ 測量、地質調査に係る契約④ 工事の施工に関する調査、企画、 立案及び監理並びに設計に係る契約⑤ 映画の製作に係る契約⑥ ソフトウェアの開発に係る契約⑦ その他請負に係る契約(委任その他の請負に類する契約を含みます。)(注1)その他の請負に係る契約には、修繕、運送、保管、印刷、広告、仲介、 技術 援助、 情報の提供に係る契約が含まれます。(注2)委任その他の請負に類する契約には、検査、検定等の事務処理の委託、市場調 査その他の調査、ディスプレイなどの企画・立案に係わる契約が含まれます。(注3)「工事の請負に係る契約」は「日本標準産業分類(総務省)の大分類に掲げ る建設業に係る工事につき、その工事の完成を約し、かつ、それに対する 対価を支払うことを約する契約をいうものとする」(経過措置通達10) とされています。① 工事等の契約が指定日(平成25年10月 1日)の前日までに 締結されているものであること。② 工事等の契約に基づく仕事の完成に長期間を要するものであること。③工事等の契約に係る仕事の内容につき相手方の注文が付されたも のであること。④工事等の契約に基づく仕事の目的物の引き渡しが一括して行われ るものであること。(注)建設業に係る工事の請負に係る契約にあっては、この適用要件を満たせば 以後の②から④までの要件を問いません。(注)上記3の②から⑥の契約にあっては、 仕事の性質上、その仕事が完了する までに通例的に長期間を要することから定められたものであり、実際に長 期間を要するか問いません。城所 弘明(キドコロ ヒロアキ)城所 弘明(キドコロ ヒロアキ)城所会計事務所 所長(公認会計士・税理士・行政書士) 消費税法上、請負による資産の譲渡等の時期は原則として相手方に引き渡した日もしくは役務の全部を完了した日とされています。しかし、消費税の改正に当たっては税率の引上げに伴う駆け込み需要やその反動等による影響が大きいことなどから、平成8 年10月 1日から平成 25 年10月1日(以下「指定日」という)の前日までの間に締結した請負工事等に係る契約が行われた場合には、引渡しが平成26年4月1日(施行日)以後になった場合であっても、現行の5%が適用されます。 また、指定日以後に契約したものであっても引渡しが施行日の前日までに完了するものも現行の5%が適用されます。 さらに、契約後に追加工事等で契約金額が増額した場合については、元々の契約を含む全体が8%(新税率)の適用を受けるわけではなく、増額分の金額のみが8%(新税率)の適用対象となります。ただし、指定日までに結んだ契約を何らかの事由で一旦破棄し、新たに再契約する場合については、再契約分全てが8%(新税率)の適用対象になります。 対象となる契約は「仕事の完了に長期間を要し、かつ、その仕事の目的物の引き渡しが一括して行われることとされているもので、契約に係る仕事の内容につき相手方の注文が付されているもの」(消費税法施行令附則第4条)となっているため、この経過措置の対象となる契約は建設請負工事契約だけに限られるものではありません。 具体的には次のような契約が、この経過措置の対象になります。→→対象となる契約特集5
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