所報9月号
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消費税率引上げに向けての経過措置の対応消費税率引上げに向けての経過措置の対応消費税率引上げに向けての経過措置の対応消費税率引上げに向けての経過措置の対応はじめに 消費税法改正に伴う消費税率の引上げは、消費税率及び地方消費税率について、次のとおり2段階で引き上げることと予定されています。 前回は「請負工事等」に関する経過措置を解説いたしましたが、今回は「長期割賦販売等」、「リース契約」、「資産の貸付け」、「指定役務の提供」、「売上返品・貸倒れ」などについて、経過措置の内容や対応方法等について解説いたします。消費税率施行日指定日5.0%現行ー8.0%平成26年 4月1日平成25年10月1日10.0%平成27年10月1日平成27年 4月1日「長期割賦販売等」に 関する経過措置 施行日前(平成26年3月31日以前)に行った「長期割賦販売等に係る資産の譲渡等の時期の特例」に規定する長期割賦販売等については、経過措置として施行日(平成26年4月1日)以後にその支払期日が到来する分についても旧税率の5%が適用されます。「リース契約」に関する経過措置 平成19年度税制改正でリース取引の税務上の取り扱いが変わりました。結論的には、リース取引については売買処理又は賃借処理いずれの場合においても、リース契約時点(リース資産の引渡しを行った時点)の消費税率が適用されます。(1)原則的な取扱い 平成19年度税制改正で平成20年4月1日以後に行われるリース取引(所有権移転外ファイナンス・リース取引)については、資産の売買取引として処理し、リース資産については会計上、固定資産に計上します。 そのため、リース取引については、原則としてリース資産の引渡しを行った日に資産の譲渡があったことになり、売買取引と同じように譲渡対価の全額が課税仕入れになります。この場合のリース取引については、経過措置が適用されません。キド先生のコメント「資産の貸付け」に関する経過措置 指定日の前日(平成25年9月30日)までに契約を締結し、施行日前(平成26年3月31日)から引き続きその契約に係る資産の貸付けを行っている場合、次の「①及び②」又は「①及び③」に掲げる要件に該当するときは、旧税率の5%が適用されます。 なお、指定日(平成25年10月1日)以後にその資産の貸付けの対価の額の変更が行われた場合には、その変更後におけるその資産の貸付けについては、経過措置が適用されず新税率の8%が適用されます。経過措置を適用するための要件①資産の貸付期間及び貸付期間中の対価の額が契約で定められていること。②事業者が事情の変更その他の理由によりその対価の額の変更を求めることが できる旨の定めがないこと。③契約期間中に当事者の一方又は双方がいつでも解約の申し入れをすることが できる旨の定めがないこと並びにその貸付けに係る資産の取得対価と付随費 用の合計額に対するその契約期間中に支払われる貸付け料金の合計額が100 分の90以上であるように契約において定められていること。 一般的に不動産の契約では「賃料が経済事情の変動、公租公課の増額、近隣の同種物件の賃料との比較等によって著しく不相応となったときには、協議の上、賃料を改定することができる」といった旨の規定がありますので、そのような場合には、経過措置を適用するための要件②に該当しないため経過措置を適用できないことになり、その変更が施行日(平成26年4月1日)以後であった場合にはそこから8%の新税率の適用になります。しかしながら、賃料の変更が、例えば、賃借人が修繕義務を履行しないことにより行われたものであるなど正当な理由に基づくものである場合には、その対価の変更につき経過措置の適用があります。1① 月賦、年賦等で3回以上に分割して支払われること② 販売等から最終支払期日まで2年以上の期間があること③ 頭金・申込金などがその割賦販売価格の3分の2以下であること(2)中小企業の例外的な取扱い 中小企業の場合、毎月のリース料の支払いをリース料として費用計上している場合には、特例として従来通り、毎月の支払いの都度、課税仕入れとして消費税の申告をすることも認められています。 施行日前(平成26年3月31日以前)にリース契約を締結し、リース資産の引渡しを行ったリース取引についてこの特例により賃貸借処理を行っている場合には、旧税率の5%が適用されます。→23長期割賦販売等の要件長期割賦販売等に該当するための要件は次のとおりです。特集6
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