所報3月号
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坂本 光司/さかもと・こうじ1947年生まれ。福井県立大学教授、静岡文化芸術大学教授などを経て、2008年4月より法政大学大学院政策創造研究科(地域づくり大学院)教授、同静岡サテライトキャンパス長および同イノベーション・マネジメント研究科兼担教授。他に、国や県、市町、商工会議所などの審議会・委員会の委員を多数兼務している。専門は中小企業経営論・地域経済論・産業論。著書に『日本でいちばん大切にしたい会社』(あさ出版)、『この会社はなぜ快進撃が続くのか』(かんき出版)など。法政大学大学院政策創造研究科 教授 坂本光司快進撃企業に学べ青谷さん夫婦はそれをバネに不屈の精神で経営道にまい進してきた。こうした努力が実り、設立当時は5店舗、社員数150人、売上高数億円であったものが、今や店舗数は北関東一円に70店舗、社員数はパートを含め約2000人、売上高は約75億円にまで成長発展している。 外食産業の動向を家計調査年報で見ると、一世帯当たりの外食費は過去10数年、ほぼ横ばいである。そのことを考えても、いかに同社がこの間、顧客や地域社会に評価されてきたかが明白である。 この間の成長の要因は多々あるが、あえて一ついえば、同社の掲げた経営理念と、それを実現する目標が社内外からの高い評価を受けたからといえる。同社が設立時に掲げた経営理念は「親孝行人間大好き企業」であり、掲げた目標は「日本一幸せな企業を目指す」である。 同社の言う親孝行とは、「単に自分の両親に孝行するということではなく、お店の仲間はもとより、顧客や地域住民に孝行する」という意味である。また、日本一幸せな企業を目指すというのは、「売上高や社員数といった規模の日本一ではなく、お店で働く社員さんたちが日本一幸せを感じるお店づくり、お店に来ていただいたお客さまが、日本一来てよかっ 茨城県古河市に本社があり、北関東一円に和食ファミリーレストランを展開する元気印の企業がある。会社の名前は「坂東太郎」といい、今から約40年前に現代表取締役である青谷洋治さんがスタートしている。ちなみに社名は、「坂東」の別名を持つ関東平野を流れ、「坂東太郎」と呼ばれる利根川に由来している。 同社の創業は昭和50年。青谷さんが24歳のとき、修業していたそば屋から独立を許され、奥さんと二人で現在の本社近くで創業している。青谷さんは病弱な両親のもと、経済的にも決して裕福ではなく、幼少のころから農作業やアルバイトに精を出し家計を支える努力家であった。一日も早く両親を楽にさせたいと、学校を卒業後、近くのそば屋で懸命に働き、数年でのれん分けのような形で独立した。 顧客の高い評価を受け、次第にお店は拡大していくが、のれん分け店の限界を感じ、昭和61年に法人化し、第二創業している。その後、幾多の試練もあったが、た、また来ようと思ってくれるようなお店づくりをしよう」という意味なのだ。 先日、機会があって同社のあるお店を訪れた。駐車場からお店に入る道の立て看板を見ると「親孝行通り」「譲り合いの道」とあった。前から歩いてきたお年寄り夫婦に私が道を譲ったのは言うまでもない。『親孝行』が経営理念の 元気企業『坂東太郎』vol.20コラムコラム16
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