所報7月号
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会頭森田 浩治株式会社伊予銀行 会長 『心理的財布』。人は心の中に「日用生活品用」「楽しみ用」「息抜き用」「ちょっとした贅沢用」など、いくつかの財布を持っており、同じ金額の支出でもどの財布から支出するかによって心理的な痛みの度合いが異なるということを指す言葉です。 例えば旅行好きな人は、旅行にかかる支出を「楽しみ用」の財布から出すことが多いため、多少の支出は気にしません。また「息抜き用」や「ちょっとした贅沢用」など複数の財布の目的を満たせば、支出額はさらに増加することになります。近年は車や自宅を持たない一方、趣味や食べ物にお金をかける人が増えるなど、人々の関心は『モノ』から、体験やサービスといった目に見えない価値(『コト』)に移行し「おもてなし」が溢れる「まち」に「コト消費」と「心理的財布」際受けた「おもてなし」は、松山市と松山商工会議所が宣言している「おもてなし日本一のまち」を返上しなければならないと思わせるほど素晴らしく、どの地域にも永年に亘り培われた文化に根差したホスピタリティを持ち合わせているのだと深く感銘を受けました。 人は期待以上の『コト』に感動するものです。「おもてなし」から得られる満足は、訪れた人の心に強く残り、口コミによる新たな観光客やリピーターの獲得につながります。四国には遍路文化があり、その遍路文化に根差したお接待の心は他の地域にも決して負けない素晴らしいホスピタリティです。今年は、瀬戸内海国立公園指定80周年、道後温泉改築120周年、四国八十八ヵ所霊場開創1200年と愛媛に追い風が吹いています。愛媛らしい「おもてなし」の心を通して『心理的財布』の紐を緩めたくなるほどの感銘を与えられる環境を作りたいものです。ています。そうした『コト消費』に対し、いかに『心理的財布』の紐を緩ませるかが、今後の消費の大きなテーマになることでしょう。 さて上述の通り、旅行は『コト消費』の代表格です。人口減少社会を迎え、将来的に消費が減少し経済が縮小していくことが予測される日本経済にとり、観光(交流人口の増加)が経済活性化策の1つとして注目されるのは当然の帰結です。人口減少がより進行している愛媛県にとっては尚更で、今後一層、交流人口をいかに増やすかが極めて重要になります。しかし観光庁の調査では、松山は他の観光地に比べ、駐車場や障害者に配慮した設備、外国語の案内表示が少ないなど、残念ながらハード面で観光客に優しい観光地とはいえないようです。今後の課題として真摯に受け止めなければなりません。 ではソフト面はどうでしょうか。先頃、福島を訪れる機会がありました。その「人口減少社会における 交流人口増加に向けて」第6回コラム6
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