所報8月号
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 当所では、地域産業の活性化を目的に、会員企業と大学の連携を推進しています。 愛媛大学社会連携推進機構の協力のもと、毎月、愛媛大学発のホットな情報を提供します。 ぜひ、ご一読ください!産学連携で地域経済をパワーアップ!第24回研究内容第24回 えひめの海から水産イノベーションの創出を 愛媛大学をはじめとした産学官金の各機関が連携し、水産業の活性化に取り組んでいます。地域の状況に即した流通システムの開発や水産業の6次産業化を目指して研究が進められており、今号では、その研究をご紹介します。~新流通システムの開発による水産業の6次産業化~ 養殖漁業は全世界において今や必要不可欠な食料供給源となっており、今後も増加傾向にあります。愛媛県は日本屈指の水産養殖地域ですが、こうした養殖漁業において、突発的な赤潮や魚病による養殖魚の斃死や品質劣化は計画的な養殖生産を妨げる最大要因となっています。本研究では高感度な赤潮・病原体の検出系を新たに構築し“赤潮の早期警報システム”や“魚病流行予測システム”を開発、効率的に普及させるための情報ネットワーク網を構築します。・赤潮・病原体の高感度モニタリングシステムの確立 赤潮プランクトンや病原体の遺伝子情報を利用して高感 度モニタリングシステムを開発・赤潮・魚病の発生メカニズムの解明 高感度モニタリングシステムで得られた赤潮プランクト ンや病原体の出現パターンと水質や潮流などの海域情報 を解析し、赤潮や魚病の発生メカニズムを解明・情報ネットワーク網の構築 赤潮早期警報システムや魚病流行予測システム構築のた めの情報基盤を整備研究の背景と目的(1)ICT等を活用した海域情報ネットワークによる赤潮・魚病対策技術の研究開発研究者:愛媛大学 南予水産研究センター 准教授 清水 園子 氏 魚類養殖では国内第一位である愛媛県でも、甲殻類の養殖はほとんど行われていません。甲殻類の一種であるカメノテはスペインでは高級食材として珍重され、愛媛県の特産品ですが、近年は天然資源の枯渇が問題となっています。甲殻類養殖のための技術をさらに改良するとともに、免疫能賦活を基盤とした環境調和型の養殖技術を融合させることにより、新しい甲殻類の養殖技術と特産品を確立することを目指します。 愛媛県における甲殻類の養殖法を確立するために、①種苗板の形状の改良、②幼生の付着効率の向上、③付着に重要な役割を果たしている付着誘引物質(SIPC)の検討、④繁殖および最も美味な時期に出荷するための卵巣の成熟時期(=旬)の管理、⑤免疫能賦活化の検討、などに取り組み、フジツボで開発した養殖法をカメノテにも応用するための研究も行います。 アカフジツボをモデルにフジツボ養殖の基本技術の実用化検証を行いました。結果、大量のフジツボ種苗を作成することができるようになりました。また、完全な剥離による収穫ができることも実証しました。今後は、カメノテの飼育方法の技術開発を目指します。 平成24年、平成25年に発生した赤潮に関してモニタリングを行った結果、赤潮発生前の早い時期に顕微鏡では検出できない低濃度レベルでの細胞の増殖を開発した高感度測定系で検出することに成功。今後は魚病流行前の早期検出を行うことにより、魚病被害の軽減を目指します。(2)環境と調和した免疫能賦活養殖技術の開発研究者:愛媛大学南予水産研究センター 教授 鶴見 浩一郎 氏研究成果研究成果研究内容研究の背景と目的133212コラム13

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