所報8月号
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第35 回 当会議所では、地域産業の活性化を目的に、会員企業と大学の連携を推進しています。 愛媛大学社会連携推進機構の協力のもと、毎月、愛媛大学発のホットな情報を提供します。 ぜひ、ご一読ください!産学連携で地域経済をパワーアップ!築を目指して、優れた形質を超高速で養殖魚に付加する「オーダーメード育種」、たくさんの系統を実験室で保存する「生殖幹細胞の凍結保存バンク」、それを移植することで優れた系統を効率的に生産する「借腹生産」の技術開発を目指しています。これらの研究は近縁種のマグロにも応用可能ですので、将来は小型生簀でスマに巨大なマグロを産ませる、なんてことも可能かもしれません。またスマのブランド化を目指し、品質を最大化するための〆方に関する研究もしています。 専門は発生生物学の知見を応用利用することを目指す「発生工学」です。卵の段階で何らかの操作を加えることによって、新しい品種を作ったり生き物の利用価値を高めたりする研究です。北海道大学大学院時代は、ゼブラフィッシュという熱帯魚に金魚の生殖細胞のもとになる「生殖幹細胞」を移植し、ゼブラフィッシュに金魚を産ませる「借腹生産」を研究していました。ゼブラフィッシュは金魚よりも小さいため、飼育環境の省スペース化を図ることができ、また、成熟するまでの期間も短いことから、より早く次世代を得ることが可能になります。このような研究をチェコにおいては、チョウザメを用いて行いましたが、これが一般的になれば絶滅危惧種などを容易に増やすことができます。実際にチェコでは、大型種のチョウザメの生殖幹細胞を移植した小型種のチョウザメが成熟しつつあり、まさに「鳶が鷹を産む」時代となっています。 南予水産研究センターでのスマの研究は教授の松原先生と私の前任者の後藤先生によって3年前に始まっています。今までの研究が実り、今年の6月には愛南町の養殖業者によって試験養殖が始まり、来年の冬には初出荷の予定です。私は赴任から間もないため、スマに「発生工学的技術」を導入するための基礎的な情報を収集している段階です。未来型のスマ種苗生産システム構第35回 産学連携による地域の課題解決を No8 カタクチイワシやスマの養殖などの研究で全国から多くの注目を集めている、「南予水産研究センター」。今回は同センターに今年の6月から赴任されたばかりの斎藤先生にお話を伺いました。~南予水産研究センター~ 趣味は魚の卵を顕微鏡で観察すること。チェコ在住時は、ビールとジョギングが日課だったとか。座右の銘は「人見るもよし 人見ざるもよし 我は咲くなり」という武者小路実篤の言葉。先端的な研究を行う中で、他人からの評価を気にせず、自分の研究を納得して行うことが大切だと考えていることから。38歳。│プロフィールを 教えてください。 出身は山形県です。幼少の頃から自然や動物に興味をもっていましたが、高校の教科書の生物(カエル)発生過程を見て、卵というただの球体から、細胞が分裂し、生き物が形成されていくという神秘的な現象に惹かれました。その後、東海大学海洋学部水産学科へ進学し、北海道大学大学院水産科学研究科生命資源科学専攻の博士課程を修了し、国内で学術研究員として勤務した後、アメリカやチェコの大学にて発生生物学の研究に携わりました。今年の6月、以前から研究などで親交のあった南予水産研究センターの先生がたからの誘いもあり、愛媛に赴任しました。│南予水産研究センター での活動について・・・。│研究内容について・・・。斎藤 大樹 氏愛媛大学 南予水産研究センター 博士(水産学)コラム13

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