所報10月号
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建設業部会 部会長森岡 孝(株式会社富士造型 代表取締役社長)失われた20年に失ったもの今 建設現場ではの変化を捉えるの変化を捉える会会 地方においての建設産業は、地域経済や雇用を支える基幹産業であると云われながら、この20数年間において、愛媛県内の建設総投資額は、ピーク時の1兆円規模から4千億円程度と半分以下に落ち込んでいます。この影響を受けて、愛媛県建設業協会松山支部の会員企業も、平成5年の会員数160社が、廃業や倒産に追い込まれ、平成26年には84社と大きく減少しています。当然のことながら、1次、2次下請け業者、また、建設資材納入業者と大変裾野の広い建設産業であることから、地域経済への影響は計り知れないものがあるでしょう。 この様な状況下で東日本大震災が発生しましたが、10年先にこの震災が起きていたら、今のような対応は絶対に不可能といわれています。今後30年以内に70%の確率で発生が予測されている南海トラフ地震や豪雨による土砂災害への対応、急速に老朽化の進むインフラ整備など、地域の建設業者の役割はきわめて大きいものがあり、これ以上の建設業者の減少は、地域の守り手としての期待に応えられなくなりそうな状況です。 また、大量の熟練建設技能労働者が高齢化により現場を離れていく中で、将来を見据えた人材確保に踏み切れなかった業界は、最近の公共投資増に対応できず、すべての業種において人出不足に悩まされています。建設技能労働者の育成には少なくとも5年〜10年はかかることから、当分悩みは解消されそうにもありません。県内の有効求人倍率が23年ぶりに1.2倍を越えたとのこと、今後もこの傾向は続くことでしょう。3Kに代表される建設業界ですが、まずは職場環境の改善からと、末端の業者に到るまで、遅ればせながら取り組みを進めています。公共工事では、元請は当然のこと、1次下請けの健康保険、雇用保険、厚生年金への加入の義務付、また、建設業従事者の所得水準の向上、休暇取得率の向上など積極的に取り組み、若手技術者の雇用と育成のほか女性の活用等につなげる動きも出ています。 建設業部会としては、こうした動きに少しでもプラスになるよう、情報交換、講演講習会を開催することで、会員企業の経営安定化に役立てればと願っています。第18回社社「地域の守り手としての建設産業」コラム6

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