所報1月号
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坂本 光司/さかもと・こうじ1947年生まれ。福井県立大学教授、静岡文化芸術大学教授などを経て、2008年4月より法政大学大学院政策創造研究科(地域づくり大学院)教授、同静岡サテライトキャンパス長および同イノベーション・マネジメント研究科兼担教授。ほかに、国や県、市町、商工会議所などの審議会・委員会の委員を多数兼務している。専門は中小企業経営論・地域経済論・産業論。著書に『日本でいちばん大切にしたい会社』(あさ出版)、『この会社はなぜ快進撃が続くのか』(かんき出版)など。法政大学大学院政策創造研究科 教授 坂本光司快進撃企業に学べという。つまり売上高は4億円以上に上るのだ。 その販売数量も桁違いである。平日の販売数量は約8000個、土曜日は1万2000個、日曜日は1万5000個、そして、お彼岸には2万5000個以上だという。なぜこうも「さいち」のおはぎは売れ続けているのであろうか。その主たる要因は二つある。 一つ目は、さいちのおはぎや各種総菜商品は、防腐剤や添加物を使用していない人の体に良い自然食品だからだ。つまり、売れる・売れないといった、店側の都合ではなく、顧客にとって一番いいものを提供し続けているのである。加えて言えば、全ての商品は手づくりである。このため賞味期限は、わずか1日しかない。だからこそ心配りも徹底している。夕方、棚からおはぎを20個取って、レジに行こうものなら、「お客さん、今日中に食べられますか?」と問い詰められるほどだ。 二つ目は、おはぎの味が絶品なのだ。同店の味は佐藤啓二社長の奥様、澄子さんが決めている。長年、試行錯誤を繰り返し、つくりあげた味だ。このおはぎの特長は、あんこの量が多い点にある。しかも、そのあんこが甘すぎず、絶妙な味なのである。この味を出そうと、多くの人々がレシピを分析し試作したが、その味は出せなかったという。これはおそらく、火加減や、砂糖や塩を入れる量やタイミング、さらには澄子さ JR仙台駅から車で約30分行った秋保温泉の入り口に「主婦の店さいち」という社名の食品スーパーがある。多店舗展開はせず1店舗主義、店舗面積もわずか80坪という小さな店だ。総菜工場は別にあるが、店舗にいる店員さんもわずか数人である。ここまで言うと、「なんだ、全国どこにでもある、ひなびた『パパ・ママスーパー』ではないか」と考える読者がいるかもしれないが、それは全くの誤解だ。 というのは、この人里離れた小さなスーパーに、土・日はもとより平日も開店前には駐車場に数十台の車が並び、店の前は数十人の買い物客が列をなしているからである。しかも車のナンバーを見ると、宮城だけでなく、栃木・群馬、さらには、なんと千葉・埼玉・東京のものまである。こうした状態が30年以上も前から続いているというのだからすごい。お客さまのお目当ては、何と言っても「おはぎ」だ。ちなみに同店の売上高は約8億円であるが、この「おはぎ」が、その50%以上を占めるんしかできない製造ノウハウがあるのだろう。そして、おはぎづくりにかける熱き思いも特筆に値する。澄子さんは、朝9時の開店に合わせ、毎日、朝1時に起床し、2時には厨房に入るという生活を30年以上にわたり継続。本物のおはぎをつくり続けているのだ。最高のおはぎをつくり続ける「さいち」vol.39コラムコラム20

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