所報10月号
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過ごしました。その後、広島の大学に通い、博士課程修了までの9年間を過ごしました。大学時代は化学を専攻し、化学物質に放射線を当てた瞬間に起こる現象について研究を行っていました。また、卒業論文では、化学物質へ放射線を当てた際に水素が切断される位置についての研究を行いました。愛媛大学には2004年に着任し、今はセラミックスを活用した、燃料電池や空気中の汚染物質を感知するセンサなど、機能性を発現する材料の研究開発を行っています。 当拠点は、カーボンニュートラルの実現を目指し、合成燃料についての研究開発を行っています。化学反応を用いて合成燃料を作り、社会で活用していくためには、効率良く合成燃料を製造する技術が必要となります。現在、太陽光エネルギーなどの再生可能エネルギーを用いて製造したグリーン水素と、排出された二酸化炭素からメタンを合成する際の反応速度を速める触媒を加え、効率的にメタンガスを発生させる研究を行っています。メタンガスは都市ガスの主成分で、水素ガスよりも保存しやすく、既存のインフラをそのまま使用することができます。また、化学反応を起こす際には熱が発生するので、その熱を有効活用する研究も行っています。排熱を用いて高温水蒸気を発生させ、電気分解を行うことで、より小さい投入電力で水素を発生させることができます。触媒の熱反応と電解反応を合わせて合成燃料を作る技術を「電熱併給型e‐Fuel(合成燃料)製造技術」と命名し、製造装置の開発に向けた基礎データの収集を進めています。 現在の電熱併給型e‐Fuelの研究は、研究室規模の実験に留まっています。しかし、実際に社会で活用できるものを目指しており、今後はベンチスケールで装置を試作していきます。そのためには、製造業をはじめとした地域の企業の方にもご協力いただき、小型のプロトタイプを用いた実験を行い、データを収集していきます。そのデータを活かし、大型化した装置を開発し、社会で活用したいと考えています。│プロフィールを 教えてください。 18歳まで島根県の出雲市で│活動内容について…。│今後の展開について…。企業Enterprise愛媛大学 University 当会議所では、地域産業の活性化を目的に、会員企業と大学の連携を推進しています。愛媛大学社会連携推進機構の協力のもと、毎月、愛媛大発のホットな情報を提供します。ぜひ、ご一読ください!~カーボンニュートラルを目指して~愛媛大学全学で2020年に認定されたカーボンニュートラル拠点の代表を務める板垣氏に、これからの新エネルギーについて、お話を伺いました。愛媛大学 カーボンニュートラル拠点代表趣味のゴルフは、学生時代部活に所属していたころより続けている。仕事の合間には、飼育しているメダカなどの観賞魚と共に疲れを癒している。コラム14板垣 吉晃氏これからの新しいエネルギーの形当会議所Chamber of Commerce第産学連携で地域経済をパワーアップ!110回

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