所報9月号
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 表紙絵の温泉を紹介する本コラム、今回は松山市の久米町にある久米之癒だ。東道後と呼ばれるこの地区には温泉が点在している。その中でも久米地区は、古くからの歴史を有している地域である。 松山には、古代に伊予国と久米国があったと考えられている。久米国については、信頼性には議論があるものの「国造本紀」によると、伊予・久味・小市・怒麻・風早等の国々があったことが明瞭になっている。国造本紀に書かれている、久味は組であって、久味が転化して久米となったという説が残されている。また、「日本書紀」にも伊予の国の大久米命の記載がある。このほか地域には、多数の群衆古墳があったため、古代に豪族が占拠した地であることは間違いなく、長く栄えていたことが分かる。 このように、古からの歴史がある地名を冠する、久米之癒は、平成2年にユートピア温泉として開業、平成18年にリニューアルした。営業時間は、午前11時から翌9時、入浴料は550円、子ども200円、アルカリ性単純温泉で、泉質が良いとの評判だ。昔ながらのサウナもある。久米之癒のお客様は地域の方が多いことから、地元に愛される温泉を目指している。気軽に来ていただけるよう、入浴料は市内の温泉でも最も安い設定としている。また、温泉に入るためのマナーの会を開催するなど、温泉文化を次代につなぐ取り組みも行っている。 古の時代からの歴史を持ち、豊かな温泉の文化を有している松山。あらためて、毎日、温泉に入れる・・・というのは、松山ならではの贅沢なのかもしれない。こうした温泉と文化をつないでいくことは大切な取り組みである。 ぜひ家族で久米之癒を訪れ、温泉を提供していただいている関係者に感謝の心をもって、お風呂に入るマナーを次の世代に伝えながら、お湯に浸かって欲しい。19コラム日尾八幡神社から久米の癒方面 第9回「南久米町 東道後温泉 久米之癒」「南久米町 東道後温泉 久米之癒」地域のために温泉を提供…その文化を時代につなぐ

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