所報10月号
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京都で生まれ育ち、大学院の博士修了まで京都で過ごしました。幼少期に電子工作が流行っていたことや、昔からモノ作りが好きだったこともあり、京都大学に入学後は電気電子工学の分野を専攻しました。大学では、冬季雷の放電を誘発するための基礎研究などを行っていました。レーザーを用いて大気をプラズマ化させ、そのプラズマを伝って雷の放電を誘発するといったもので、この頃からプラズマの実験に携わっていました。愛媛大学に赴任してからは、プラズマ工学の研究を深め、当初はプラズマを用いて水銀を用いない蛍光灯の研究などを行っていました。現在はプラズマや光を使用した実験を行っており、社会実装に向けて開発やデータの蓄積等を進めています。中でも代表的なものを3つご紹介します。1つ目が、プラズマを用いて細胞に遺伝子を導入するというものです。これまでは、電流を流す、薬剤やウイルスを使用するなど、細胞にとってダメージや危険を伴う技術しかありませんでしたが、プラズマを使用することで、冬にドアノブなどで起きる静電気の放電よりも弱い放電で細胞内に遺伝子を送ることができるようになり、もとの遺伝情報を乱すことなく、必要な機能だけを付加したり、不必要な機能だけを止めたりといったことが可能となります。現在、大学発ベンチャーにてこの技術を使用した市販向け装置の開発などを進めています。2つ目が、プラズマを使用して魚の成長を促進させるといった研究です。プラズマ処理をした水の中でティラピアを飼育したところ、成長が速まることがわかりました。稚魚の期間を短くすることで、養殖業の安定化を図れるのではないかと考えています。最後が、照明を使用したベクション制御による車両の速度抑制の研究です。研究室の屋上に灯火を埋め込んだ道路模型を作り、灯火の光り方で車両の速度がどのように感じられるかを実験しています。カメラを搭載したロボットを走行させて撮影した映像を被験者に見せたところ、光り方を調整することで、同じ速度でも早く感じたり遅く感じたりすることがわかりました。この効果を利用して車両の速度抑制が可能になるのではないかと考えています。◆次号へつづく…│プロフィールを 教えてください。│ご自身の研究について。第121回企業 Enterprise当会議所 Chamber of Commerce愛媛大学 Unversity産学連携で地域経済をパワーアップ!i愛媛大学 大学院理工学研究科 教授コラム12 当会議所では、地域産業の活性化を目的に、会員企業と大学の連携を推進しています。愛媛大学社会連携推進機構の協力のもと、毎月、愛媛大発のホットな情報を提供します。ぜひ、ご一読ください!日々の生活に大きく関わる電気。今回は電気工学の中でもプラズマを用いて多様な分野にアプローチをしており、社会連携推進機構知的財産センター長を務める神野先生にお話を伺いました。社会連携推進機構知的財産センターセンター長神野 雅文氏座右の銘は『凡庸な教師はただしゃべり、よい教師は説明をする。優れた教師はやってみせ、偉大な教師は生徒の心に火を灯す。』(William Arthur Ward)。大学時代の恩師が、学生を育て、社会で成功するのを喜びにされていることに感銘を受け、教育・研究職に就くことを決めた。趣味はボードウォーゲームで、月に1回ウォーゲームサークルの例会に参加する。電気工学でよりよい社会に~プラズマや電気で社会貢献を目指す~今治 ・ 松山 ・ 宇和島 ・ 大洲 ・ 西条 ・ 四国中央 ・ 多度津

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