所報10月号
21/24

 今回の表紙絵は、松山市の南部、中野町にある、ていれぎの湯。四国八十八ヶ所霊場が近くにあり、弘法大師の伝説が残っている地域でもある。 そもそも「ていれぎ」とは、松山市指定天然記念物である。市のホームページによると、「テイレギは和名オオバタネツケバナの松山地方での方言名。各地の低山、あるいは原野の水湿地や溝などに生える多年生草」とある。ていれぎは、ピリッと辛味が強く、香りもよいとされており、刺身のつまに珍重されている。また、きれいな水のあるところに群生することから、松山市公営企業局は、水の情報誌を「ていれぎ」の名称で発行している。植物でありながら、きれいな水を連想させる言葉である。 その名を冠する「ていれぎの湯」は、2000年にオープンし、2018年にリニューアルして、三福グループが運営している。営業時間は、6時から24時で、札止め大人600円、中学生未満が300円、3歳以下は無料。土日祝は大人+100円になる。泉質はナトリウム‐塩化物泉。地元の木材を使った薪ボイラーで温泉を沸しており、泉質がやわらかくなっている。サウナのほか、マッサージチェアや美容機器が無料で使えることもあり、有名温泉サイトでコスパランキング1位を獲得した。また、屋外には、テントサウナやバーベキュー場もある。 四国八十八ヶ所霊場があるため、この地には、弘法大は23時。年中無休。入浴料は、師が水を湧き出させた伝説が残っている。ていれぎの湯では、碧龍乃泉の案内板にその伝説を記すほか、温泉の入口には、弘法大師の像を建立して、歴史を今に伝えている。 弘法大師の言い伝えとともに、古くからきれいな水が豊富にあった地域に湧く温泉。あらためて、自然の恵みと、伝説や歴史に触れながら、湯につかるのも楽しいのでは。19コラム第10回「中野町 南道後温泉 ていれぎの湯」「中野町 南道後温泉 ていれぎの湯」きれいな水に生える「ていれぎ」を冠する温泉

元のページ  ../index.html#21

このブックを見る