所報11月号
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今夏の終り頃、愛媛大学の留学生の若者男女数名から経営に関するインタビューを受ける機会がありました。彼らの出身国は様々で、韓国、マレーシア、アルジェリア、エチオピアそして日本。留学生としてのプロジェクト「SDG‘sとビジネスソリューション」の一環で、「2030年と2050年の企業ビジョンを語って欲しい…」というのが彼ら留学生多国籍チームのインタビューの主なテーマでした。しかし実のところ、私は今から数年後と二十数年後の企業ビジョンなるものを明確に描ききれていません。正確に言えば、数年前のものはそれなりにあるのですが、コロナ禍やロシアのウクライナ軍事侵攻による地球規模での経済環境の激変、また人手不足や働き方改革への対応に代表されるように慢性的な問題により、静かにかつ急激に変わっていく時代のメガな変化について行けていないものを感じているからです。要するに時代に先を越されてしまっているのです。そして、それが彼らへの私からの回答でした。ところで、面談を通して感じたことは彼ら世代との人生の価値観の違いです。それは、かつて新人類という造語で表現されていた頃に感じていたものともまた微妙に違い、私の感覚からすると、一面的で抽象的ですが、大きいものがいいとは限らない。一か所がいいとは限らない。目立つことを好まない。経済的な成功がすべてではない。ものの所有にこだわらない等など。もちろん結婚観や家族観も別次元なのでしょう。それは先進国であれ途上国であれ、概ね似たようなベクトルではないのかと思うと同時に、これまた価値観の変化に先を越されていることを痛感させられました。昨今、多様性が重要と言われますが、ただのバラバラ状態ではないのかと思う一面があるようにも感じます。彼ら世代の視点がどこをどのように見て価値を感じ醸成されるのか。また、なぜそれが共感伝播するのか。私には一刀両断に分析理解し、染みついた固定観念から判断することがナンセンスに思えてなりません。これから世の中の中心となって活躍する世代の想定外に変化し続けるであろう時代の価値観に注目していかなければなりませんが、自らが作り上げてきた固定観念から逃れられるのか?もっともっとしなやかにありたいものです。チェンジ5コラム松山商工会議所総務委員長リレーコラム第7回「価値観の多様性を理解する?」西山 周大変革の時代に   チャンスを掴む

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