が、中期行動計画で掲げている4つのトレンドの中で、最もインパクトがあるのは、人口減少だと考えます。2020年の愛媛県の人口は約133万人ですが、推計では、2060年には約78万人と4割以上減少、松山市においても、県全体よりは緩やかなものの、2020年の約51万人から2060年は約36万人と約3割の減少が予測されています。加えて、高齢化率も上昇するため、実際の労働力は、人口以上のペースで減少します。企業においては深刻な人手不足と管内市場の縮小、また、地域においては、公共インフラが維持できなくなるほか、医療や福祉などの公的なシステムも立ち行かなくなる恐れもあります。国をはじめ、県や市も、総力をあげて人口減少対策に取り組んでいますが、経済界としても、これらの課題を克服し、持続可能な企業や地域づくりに全力で取り組むことが強く求められています。三好 持続可能な企業の経営を考える中で、松山のまちづくりを見直していく必要があります。どの場所に立地し、どのようなマーケットを対象にビジネスを行うかは、地域の経済に立脚する中小企業においては、特に大きな課題となります。まちづくりを進める上で、エリアごとの活用方針(ゾーニング)を考えていく必要もあります。宮﨑 松山のまちづくりは、産業の特性から見ても、観光振興を考えることが必要です。今後、人口が減少し、管内の市場が縮小する中で、交流人口を拡大するなど、外からの投資を増やしていくことが重要です。7月には、道後温泉本館の改修工事が完成しますが、国内外から訪れる観光客にとって利便性が高く、また、魅力的なまちづくりに取り組む必要があります。髙橋 まちづくりに関して、当会議所は、人口減少などの社会課題を克服し、持続可能なまちづくりを推進することを重点事業に掲げています。人口減少を前提として、企業活動の維持・発展や地域社会の活性化に向け、官民が連携して、新たなまちづくりに取り組む必要があると考えています。当会議所の中期行動計画では、30年後を見据えた松山のまちづくりビジョンの策定、移住及び交流人口の拡充や、中心市街地の機能強化と賑わいの創出、外国人など多様な人材が地域で共生するための仕組みづくり、気候変動に対応した地域づくりの推進などを掲げています。守谷 インバウンドや外国人材の増加、高齢化など、松山のまちには、人口が減少する一方で、これまで以上に多様な方が居住することになります。このため、企業や地域は、まさしくダイバーシティの推進が求められます。ダイバーシティの実現は、SDGsの目的を達成することにもつながるとともに、持続可能なまちづくりの重要な要素であると考えます。宮﨑 まちづくりに関しては、当会議所は、2022年6月に開催した全国商工会議所観光振興大会で採択した「えひめ・まつやまアピール」をも3特集副会頭清水 一郎(株)伊予鉄グループ 代表取締役社長会頭髙橋 祐二三浦工業(株) 会長新春座談会
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