新たな紙幣から学ぶ、地域の挑戦と未来への視点今年7月、財務省と日銀は新たな紙幣を発行します。〝近代日本経済の父〞と呼ばれる渋沢栄一をデザインした一万円札、日本初の女子留学生である津田梅子をデザインした五千円札、そして破傷風治療法を開発した北里柴三郎をデザインした千円札です。これらは、明治維新という近代日本の大変革の時代を生き抜いた人々であり、彼らの挑戦と成果が評価され、新たな紙幣のデザインとなりました。特に渋沢栄一は、近代日本の経済をけん引した実業家であり、商工会議所の父でもあります。私の祖先もまた、明治維新の変革の時代を経験しました。吉田藩の両替商として藩札を発行しておりましたが、廃藩置県によりその地位を失いました。しかし、彼らはその困難を乗り越えるため、変革をチャンスと捉え、文明開花という〝生活の変化〞に対応した金物店を開業し、地域で新たな事業を起こしました。この時に作られた「代々初代」という家訓は、大変な状況でも前向きに取り組むという、私たちが今も受け継いでいる価値観の原点です。現在、私たちは人口減少という大きな課題に直面しています。これは、地域社会や経済に多大な影響を及ぼすことは確実であり、何も変えずに現状維持するだけでは衰退するのみとなってしまいます。新しい市場や価値を作るためにも、新たなチャンスと捉え地域の魅力や自社の特徴を地域外に発信し、観光や販売機会の拡大などによって、地域外からの外貨獲得を目指すことが、この課題を乗り越えるための一つの戦略となるでしょう。愛媛・松山から新たな価値を地域外に発信するためには、地域の強みや自社の強みを再発見し、それを活かしたビジネスモデルの構築が不可欠です。グローバリゼーション委員会では、海外視察などを通じて国際感覚や国際ビジネスに関する知識を高め、会員企業がグローバルな舞台で活躍できるようなチャンスを創出していきます。 渋沢栄一や私たちの祖先が示したように、変革の時代は新たなチャンスの時代です。私たち一人ひとりが変革のチャンスを積極的に捉え、行動に移していくことが求められています。新たな紙幣の登場を契機に、新たな一歩を共に踏み出しましょう。松山商工会議所グローバリゼーション委員会委員長コラム6チェンジリレーコラム佐川 正純第13回「変革期を乗り越える松山の未来戦略」大変革の時代に チャンスを掴む
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