昨年7月、国連のグテーレス事務総長が「地球温暖化の時代は終わり、地球沸騰化の時代が訪れた」と危機感を露わにしてから1年が経った。世界的な異常気象による災害の多発などの現状からすると、気候変動対策である脱炭素・カーボンニュートラル(CN)への取り組みは「待ったなし」であり、脱炭素・CNの推進は世界の共通認識となっている。これを経済的価値に結び付け、主導権を握ろうとしているのが欧州である。情報開示の義務化、輸出入規制の導入など規制の国際標準化、いわゆるルールメイキングによって経済的優位性を確保し、世界をリードしたいようであり、国益も見据えた対応を進めている。世界的な課題解決のためであっても、持続的な成長・発展を考えた場合、経済が回らないことには始まらないという現実を踏まえた必然のしたたかな対応であるかと思う。一方、日本も政府がGX推進戦略を掲げ、経済社会システム全体を脱炭素化の方向に転換する変革を加速度的に進めている。 企業としては、こうした世界の潮流や国の動向を見定めつつ、現実的な対応を着実に進めていく必要がある。まずは、自社のエネルギー消費量を評価し、削減のポイントを見つけ出して省エネ設備の導入や省エネ活動を推進することが挙げられる。また、消費者には環境に配慮した企業を支持する傾向があり、環境に優しい企業としてのイメージの構築を通じて顧客からの信頼の獲得につなげることも重要であろう。さらには、激甚化する災害への備え、すなわち防災・減災対策の推進に関連付けた効果的な取り組みを検討すること、新たなビジネスモデルや製品の開発につなげ、新たなビジネスチャンスを生み出す可能性を探っていくことなど、それぞれの事業分野に応じた切り口があるのではないかと思う。環境・グリーン成長戦略委員会では、今後の「先を読む」一助となる最先端の取り組みの視察・研究、具体的な実施先行事例の紹介などを通じて、会員の皆さまの取り組みに寄与し、ひいては愛媛・松山における脱炭素・CNの実現に貢献していきたいと考えています。チェンジ松山商工会議所環境・グリーン成長戦略委員長コラム4リレーコラム第15回「地球沸騰化の時代への対応を着実に」安藤 誠一大変革の時代に チャンスを掴む
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